奥多摩へ

まだ気温が低い2月頭に奥多摩へ行ってきた。
目的は奥多摩の自然を切り取ること。
奥多摩は、下見で山梨へ行くときに一度、通過したくらいだ。
その時はひたすらくねくねの山道を3時間ほど運転をした記憶しかない。
ただ、自然がたくさんあったのは間違えない。
そもそも、この話が出たのは一緒に仕事をしている仲間が「撮影に行こう」と言い始めたのがキッカケである。
そんなこんなでカメラマン仲間にも声をかけ、3人で行くことになった。

朝9時にJR青梅線の小作駅に着き、そこからレンタカーを借りて奥多摩へ2時間ほどかけて向かった。
まずは、奥多摩駅。
ここは関東の駅100選に選ばれている駅でもあり、「どんな駅なんだろう」と少しの期待を胸に。
しかし、いきなり期待を裏切られてしまった。
なんと、駅舎は工事中で外観は見られず。
代わりに工事用の木材の匂いを吸い込んできた。

そして一行は滝が見たいとの声から、いくつかの滝へ行ってみる。
しかしだ。
どこも道が封鎖されていて、どの滝にも行くことができない。
これは奥多摩へ滝を見に行く際は気をつけることだ。
そんなことがあり、鍾乳洞へ向かった。

日原鍾乳洞

鍾乳洞なんて何年振りだろうか。
東京にそれがあることすら知らなかった。そのくらい鍾乳洞には関心が薄い。
奥多摩駅から車を走らせ、車同士が違えないような道を通りながら向かった。
その途中、倉沢のヒノキという観光名所の入り口付近からの眺めがよく、車を止めて外に出た。
不思議なことに、山肌にポツンと工場がそびえ立っている。
熊本にある「ラピュタの道」に向かった時の記憶が頭に蘇ってくる。

そこから車で20分程だろうか。
最初の目的地である日原鍾乳洞へ到着した。
連休の最終日であったがそれほど混んではいなかった。
中へ入ると、長年かけて形作られたであろう突起物が迎えてくれる。
急で狭い階段が多く足場に気を遣う。
10分ほど中を進むと、突如ライトアップされた広い空間が出現した。

一緒に行ったメンバーは皆、広角レンズで撮影をする中、後方から105mmで切り撮る。
中望遠だとブレにシビアで、SSも遅いのでなかなかブレのない写真が撮れない。
ここで気がついたのは、鍾乳洞のライトアップがLEDなのか、撮る度に写真に映る色が変わる。
これはこれで面白い。
鍾乳洞での写真はあまり撮らず、どちらかというと鍾乳洞を抜けるのに精一杯であった。
外に出ると新鮮な空気を吸えて、とても気持ちがいい。
やはり鍾乳洞の中は少し、空気が滞留していて重たい。
その後、お昼を食べて一行は奥多摩駅方面へ。

途中までは、行きの道と同じ風景が目に映っていたが、気がつくと見たことない風景が目の前に広がる。

また車を止めて、外で撮影をする。
外の風景を眺めていると「この風景だ」っていう瞬間が何度かある。
その度に外に出て、その瞬間へ戻る。
ここに気を使わなくて良いのがカメラマン同士で撮影に行く醍醐味ではないか。

そんなことをやっているうちに、気がつくと夕方手前になっていた。
あと少しで日が暮れる。
次はどこを目指そうか。
やっぱり川に行きたい。

やっぱり風景は広角レンズが楽しいのかなって思ってしまうが、大切なのは画角と向き合うこと。
そして、その画角を自分のものにする。
僕の信念として「その画角、レンズでしか切り取れない一瞬がある。だからこそ、その画を撮るのに適切と言われているレンズではなく、あえて他の画角に挑戦することには意味がある」と思っているので、ここでは105mmをあえて装着し続ける。

奥多摩湖へ

山を下りながら最後に立ち寄った。
奥多摩湖は水が綺麗で、青く、透き通っていた。

夕暮れ前の本来ならゴールデンアワーになるはずの時間。
曇っていても、なんとも言えない時間が過ぎる。

窓の外を眺めていると、妙な形が目に入った。
まるで蛇みたいにぐねぐねしている。
向こう岸に渡るための橋であった。
門は空いており、階段を降りれば誰でも通れるようになっている。
「こういう橋で門が開いているのは珍しいな」と思いつつ、下まで降りて渡ってみる。
ギシギシと音を立てて橋は揺れる。
まるで「通るな」と言っているかのようだ。

途中で引き返そうとしたら、入り口に知らない男女の姿があった。
「ここをデートに選んで、楽しんでくれる人すごいな」と一瞬思い、羨ましくなる。
山の中をひたすらドライブして、気になったところで車を止めて、のんびり歩く。
そんなスローな時間が実は大切なんだと思う。

それにしても山脈は美しい。
雲がかかった山、薄暗くなった山、快晴の山。
様々な顔を持っている。
そう、改めて思った。

星、撮ったことない

まだ日没の時間は早く、あっという間に空は暗くなった。
気がつくと空には星が輝いていた。
写真を仕事にしていても、撮ったことがないものはたくさんある。
フォトグラファーは常に被写体と向き合うが、全部を撮影したことがあるなんて人はいない。

とりあえず、街灯の光が入らない場所まで向かってみる。
設定がわからない。
どうやってあの星空を捉えるんだろうか。
シャッタースピード、絞り、ISO。
このシンプルな3つの組み合わせなんだけど、わからない。

シャッタースピードを遅くすれば、その分、光が入るから明るく撮れるのかな。
そんなことを考えながら、撮影してみる。
10秒くらい待って、写真を見てみる。
青白く光る液晶には、星の粒が鮮明に記録されていた。
「すげーー」と思わず口から言葉が出てしまった。
スタジオでストロボを初めて使った時のような、あの驚きに近いものがあった。
でも、もっと何か神秘的なものを感じた。

撮影しているとき、周りから音は一切しない。
無音。
その感覚がとても好きで、たまに車の中で「無音」を楽しんでいるくらい。
「山はいい」そう思えた瞬間だった。

星の撮影技術は未熟。
だけど、新たな被写体に出会え、挑戦できたことに感謝して、一行は山を降りた。
-終わり-

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